週刊田崎

田崎 健太 Kenta Tazakimail

1968年3月13日京都市生まれ。ノンフィクション作家。早稲田大学法学部卒業後、小学館に入社。『週刊ポスト』編集部などを経て、1999年末に退社。
著書に『cuba ユーウツな楽園』 (アミューズブックス)、『此処ではない何処かへ 広山望の挑戦』 (幻冬舎)、『ジーコジャパン11のブラジル流方程式』 (講談社プラスα文庫)、『W杯ビジネス30年戦争』 (新潮社)、『楽天が巨人に勝つ日−スポーツビジネス下克上−』 (学研新書)、『W杯に群がる男たち―巨大サッカービジネスの闇―』(新潮文庫)、『辺境遊記』(絵・下田昌克 英治出版)、『偶然完全 勝新太郎伝』(講談社)。最新刊は『維新漂流 中田宏は何を見たのか』(集英社インターナショナル)、『ザ・キングファーザー』(カンゼン)。
早稲田大学講師として『スポーツジャーナリズム論』『実践スポーツジャーナリズム演習』を担当。早稲田大学スポーツ産業研究所招聘研究員。『(株)Son-God-Cool』代表取締役社長として、2011年2月に後楽園ホールでのプロレス『安田忠男引退興行』をプロデュース、主催。愛車は、カワサキZ1。
twitter :@tazakikenta

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2013年2月26日

それぞれ作家にはやり方があるだろう。ぼくの場合、単行本の原稿は一度、最後まで仕上げてからバランスを見ながら修整を入れることが多い。全体像を荒く鑿で彫ってから、細部を整えていくような感じである。
 今回は元旦から原稿を書き始めた。連載で書いていた原稿はあったとはいえ、単行本には序章から始まって、大きな流れが出来るものだ。そこに雑誌の原稿をはめ込むことは無理がある。すでに書いた原稿もばらばらに分解して、単行本の中に入れることになった。
 今回の本には、大量の取材データがあり、文献も山積みになっていた。原稿に疲れると本を読み、また不明な点が出てくると、資料を取り寄せる――。一か月ほどで書き上げる予定が、二か月近くになってしまったのだ。
 長編原稿の執筆中は孤独なものである。いつもは気分転換にオートバイのエンジンを掛けて首都高を走ったりしていたのだが、今回は冬。今年の冬は冷え込みがきつく降雪もあった。事務所、国会図書館等などへ、凍えながらオートバイを走らせる程度しかできない。最大の息抜きはオートバイ雑誌を眺めて、旅を夢想することだった。
 そしてようやく今日、原稿を書き終えることが出来た。これから細部を整えていくにしても、一息いれることができる。
 但し――。
 原稿の完成が遅れたため、別の仕事も溜まっている。寒さもあって、まだ遠出はできない。

今年ほど春が待ち遠しいのは初めてかもしれない。