四日ぶりにサンパウロに戻ってきた。サンパウロの友人は暑くて仕方がないと言っていたが、気温四十度を越えるトカンチンス州から戻ってきた僕には多少は楽に感じる。
トカンチンス州は、ブラジルの真ん中に位置する。大地のほとんどは、セハードと呼ばれる草原が広がっている。トカンチンス州は、十年ほど前にゴイアス州から分離した新しい州だ。元々のゴイアス州には、広大な土地を利用して、人工都市ブラジリアを建設されたが、トカンチンス州は輪を掛けて何もない。
そんなトカンチンス州を僕が訪れたのは、トルマリンなどの宝石が採れるからだ。
宝石掘りのことをポルトガル語でガリンペイロと呼ぶ。ガリンペイロの生活を知るために、彼らと仕事をする知り合いに付いていったのだ。
飛行機でサンパウロからブラジリアを経由して、州都パルマスへ。パルマスから、レンタカーで四百キロほど離れたジャウーという村へ。このジャウー・ド・トカンチンスという村が電気が通じている最後だった。
街を出て牧場の農道をひた走った。道ばたでは、カウベルをつけた牛の群、馬、羊が草をはんでいる。野生の鹿、ダチョウが農道を横切った。
ガリンペイロの家は、椰子の木を葺いたもので、電気はもちろん水道もない。携帯電話はパルマスの街を出たところからすでに通じなかった。彼らの家で、米とフェジョン(豆)、肉、近くで取れた魚やカメレオンを食べた。
このトカンチンス行きについては、数年前から行きたいと考えていたが、なかなかスケジュールが合わなかった。今回は比較的時間に余裕があり、ようやく実現した。
発表するメディアを決めずに出かけたが、何かの形で露出するつもりだ。
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